令和6年2月14日、令和6年度の診療報酬改定について厚生労働省中央社会保険医療協議会より改定事項に関する資料が公表されました。
この記事では、訪問看護に関わる改定事項について厚生労働省の資料を基に作成しております。詳細については厚生労働省のページよりご確認ください。
目次
賃上げに向けた評価の新設-訪問看護ベースアップ評価料
訪問看護ステーションにおいて、勤務する看護職員その他の医療関係職種の賃金の改善を実施している場合の評価を新設する。
(新) 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) 780 円
訪問看護ステーションであって、勤務する看護職員その他の医療関係職種の賃金の改善を強化する必要がある訪問看護ステーションにおいて、賃金の改善を実施している場合の評価を新設する。
(新) 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)
イ 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)1 10 円
ロ 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)2 20 円
↓
ヌ 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)10 100 円
ル 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)11 150 円
↓
ソ 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)18 500 円
訪問看護ステーションにおける持続可能な24時間対応体制確保の推進
1.24 時間対応体制加算について、看護業務の負担軽減のための取組を行った場合の評価を新設する。
イ 24 時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合 6,800 円
ロ イ以外の場合 6,520 円
看護業務の負担軽減に関する具体的指針
ア 夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
イ 夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
ウ 夜間対応後の暦日の休日確保
エ 夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
オ ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減
カ 電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保
2.24 時間対応体制加算について、24 時間対応に係る連絡体制の取扱いを見直す。
24時間対応体制に係る連絡相談に支障がない体制を構築している場合には、24時間対応体
制に係る連絡相談を担当する者について、当該訪問看護ステーションの保健師又は看護師以外の職員(以下この項において「看護師等以外の職員」という。)でも差し支えない。
ア 看護師等以外の職員が利用者又はその家族等からの電話等による連絡及び相談に対応する際のマニュアルが整備されていること。
イ 緊急の訪問看護の必要性の判断を保健師又は看護師が速やかに行える連絡体制及び緊急の訪問看護が可能な体制が整備されていること。
ウ 当該訪問看護ステーションの管理者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員の勤
務体制及び勤務状況を明らかにすること。
エ 看護師等以外の職員は、電話等により連絡及び相談を受けた際に保健師又は看護師へ
報告すること。報告を受けた保健師又は看護師は、当該報告内容等を訪問看護記録書に
記録すること。
オ アからエについて、利用者及び家族等に説明し、同意を得ること。
カ 指定訪問看護事業者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員に関して別紙様式2
を用いて地方厚生(支)局長に届け出ること。
訪問看護医療DX情報活用加算の新設
指定訪問看護ステーションにおいて、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを通じて利用者の診療情報を取得し、当該情報を活用して質の高い医療を提供することに係る評価を新設する。
(新) 訪問看護医療 DX 情報活用加算 50 円
書面掲示事項のウェブサイトへの掲載
第1 基本的な考え方
デジタル原則に基づき書面掲示についてインターネットでの閲覧を可能な状態にすることを原則義務づけするよう求められていることを踏まえ、保険医療機関、保険薬局及び指定訪問看護事業者における書面掲示について、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないこととする。
第2 具体的な内容
保険医療機関及び保険医療養担当規則等について、書面掲示することとされている事項について、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないこととする。
訪問看護ステーションにおける管理者の責務の明確化
第1 基本的な考え方
提供する訪問看護の質を担保しつつ、訪問看護ステーションを効率的に運営する観点から、管理者の責務を明確化するとともに要件を見直す。
第2 具体的な内容
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成 12 年厚生省令第 80 号)の一部を改正し、管理者の責務を明確化する。また、管理者について、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合には、同時に他の指定訪問看護ステーション等を管理できることとする。
虐待防止措置及び身体的拘束等の適正化の推進
第1 基本的な考え方
訪問看護における虐待防止措置及び身体的拘束等の適正化を推進する観点から、虐待防止措置に関する体制整備を義務化するとともに、身体的拘束等を原則禁止する。
第2 具体的な内容
1.指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成 12 年厚生省令第 80 号)を改正し、指定訪問看護事業者に対し、指定訪問看護ステーションごとの運営規定に、「虐待の防止のための措置に関する事項」を定めることを義務付ける。また、本改正に際し、2年の経過措置期間を設ける。
2.指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の一部を改正し、指定訪問看護の具体的取扱方針に、身体的拘束等の原則禁止や緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合における記録の義務を追加する。
訪問看護ステーションの機能に応じた訪問看護管理療養費の見直し
第1 基本的な考え方
多様化する利用者や地域のニーズに対応するとともに、質の高い効果的なケアが実施されるよう、訪問看護ステーションの機能強化を図る観点から、訪問看護管理療養費の要件及び評価を見直す。
第2 具体的な内容
1.訪問看護管理療養費について、訪問看護ステーションの利用者に占める同一建物居住者の割合、特掲診療料の施設基準等別表第7に掲げる疾病等の者、特掲診療料の施設基準等別表第8に掲げる者に該当する利用者及び精神科訪問看護利用者の GAF 尺度の受入実績に応じた評価体系に変更する。
【訪問看護管理療養費】
月の2日目以降の訪問の場合(1日につき)
イ 訪問看護管理療養費1 3,000円
ロ 訪問看護管理療養費2 2,500円
2.機能強化型訪問看護管理療養費1の要件について、在宅看護等に係る専門の研修を受けた看護師を配置することとする。
3.訪問看護ステーションにおける適切な感染管理の下での利用者への対応を評価する観点から、訪問看護管理療養費の評価を見直す。
4.訪問看護ステーションにおける訪問看護療養費明細書のオンライン請求が開始されることを踏まえ、訪問看護療養費明細書のオンライン請求及び領収証兼明細書の発行を推進する観点から、訪問看護管理療養費の評価を見直す。
【訪問看護管理療養費】
1 月の初日の訪問の場合
イ 機能強化型訪問看護管理療養費1 13,230円
ロ 機能強化型訪問看護管理療養費2 10,030円
ハ 機能強化型訪問看護管理療養費3 8,700円
ニ イからハまで以外の場合 7,670円
緊急訪問看護加算の評価の見直し
第1 基本的な考え方
緊急の指定訪問看護が適切に提供されるよう、緊急訪問看護加算について、要件及び評価を見直すとともに、訪問看護療養費請求書等の記載内容を見直す。
第2 具体的な内容
1.緊急訪問看護加算に、同一月の算定回数に応じた算定区分を設ける。
イ 月 14 日目まで 2,650 円
ロ 月 15 日目以降 2,000 円
※ 在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料及び精神科訪問看護基本療養費についても同様。
医療ニーズの高い利用者の退院支援の見直し
第1 基本的な考え方
退院日の利用者の状態及び訪問看護の提供状況に応じた評価を充実させる観点から、退院支援指導加算の要件を見直す。
第2 具体的な内容
退院支援指導加算に規定する長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合の加算について、退院日に看護師等が複数回の訪問により療養上必要な指導を行った場合において、当該指導に要する時間の合計が90 分を超えた場合にも算定可能とする。
母子に対する適切な訪問看護の推進
第1 基本的な考え方
訪問看護において、ハイリスク妊産婦及び乳幼児の状態に応じた評価を行う観点から、ハイリスク妊産婦連携指導料について要件を見直すとともに、乳幼児加算について評価体系を見直す。
第2 具体的な内容
1.ハイリスク妊産婦に対する支援を充実する観点から、ハイリスク妊産婦連携指導料の多職種カンファレンスの参加者に、訪問看護ステーションの看護師等を加える。
2.訪問看護基本療養費の乳幼児加算について利用者の状態に応じて区分し、それぞれの評価を設ける。
6歳未満の乳幼児に対し、訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を行った場合は、乳幼児加算として、1日につき1,300円(別に厚生労働大臣が定める者に該当する場合にあっては、1,800円)を所定額に加算する。
訪問看護療養費明細書の電子化に伴う訪問看護指示書の記載事項及び様式見直し
第1 基本的な考え方
より質の高い医療の実現に向けてレセプト情報の利活用を推進する観点から、訪問看護指示書及び精神科訪問看護指示書の記載事項及び様式を見直す。
第2 具体的な内容
令和6年6月から訪問看護レセプトのオンライン請求が開始されることを踏まえ、訪問看護指示書及び精神科訪問看護指示書の主たる傷病名について、傷病名コードを記載することとし、当該様式の見直しを行う。
医療機関・訪問看護ステーションにおける明細書発行の推進
第1 基本的な考え方
患者・利用者から見て分かりやすい医療を実現する観点から、令和6年6月より、指定訪問看護事業者による明細書の無料発行を義務化するとともに、診療所(医科・歯科)における明細書無料発行の義務の免除規定について、全ての医療機関において発行可能な環境を整備した上で、廃止する。
第2 具体的な内容
1.指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準を改正し、訪問看護ステーションにおける明細書の無料発行について義務付ける。義務化にあたっては、既に交付が義務づけられている領収証において個別の項目ごとの金額等の記載が求められていることを踏まえ、現在の領収証を領収証兼明細書とする。また、本改正に際し、領収証兼明細書に変更するシステム改修に必要な期間を考慮し、令和7年5月 31 日までの経過措置期間を設ける。
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