訪問看護における医療保険請求の「退院時共同指導加算・特別管理指導加算・退院支援指導加算」についてご紹介します。訪問看護ステーションを運営する中で、請求・加算内容についてしっかり把握して、適切運営を行うことが重要です。しっかりとチェックしておきましょう。
目次
退院時共同指導加算とは?
医療保険における退院時共同指導加算とは、病院、診療所又は介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院中または入所中の者が退院・退所する際に、医師やスタッフと連携して在宅生活での療養上必要な指導を行い、その内容を文書により提供した際に算定できる加算です。令和3年度介護報酬改定では、退院時共同指導加算の算定要件について、新型コロナウイルス感染症対策やICT活用の観点から、テレビ電話等の活用が認められるようになりました。
退院時共同指導加算の金額
加算の種類 | 金額 |
退院時共同指導加算 | 8000円/回 |
退院時共同指導加算の算定要件
病院、診療所又は介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院中または入所中の者が退院・退所する際に、医師やスタッフと連携して在宅生活での療養上必要な指導を行うこと
退院時共同指導の内容を文書によって提供すること
退院・退所後に訪問看護を行うこと
退院時共同指導の内容を訪問看護記録書に記録すること
退院時共同指導加算の留意点
退院・退所後の1回目に訪問した訪問看護の訪問看護管理療養費に加算します。
退院・退所につき1回に限り算定します。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等の利用者(※1)については2回算定できます。
複数の訪問看護ステーション等が退院時共同指導を行う場合には、主治医の所属する医療機関等へ他の訪問看護ステーション等における退院時共同指導加算の算定状況を確認する必要があります。
1回しか算定できない利用者に対して、複数の訪問看護ステーション等が退院時共同指導を行う場合には、1ヵ所の訪問看護ステーション等だけが算定できます。
2回算定できる利用者に対して、複数の訪問看護ステーション等が退院時共同指導を行う場合には、それぞれの訪問看護ステーション等において、1回ずつの算定も可能です。
訪問看護ステーションと特別の関係にある保険医療機関・介護老人保健施設・介護医療院を退院・退所した場合も算定できます。
訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が、ビデオ通話等のリアルタイムでのコミュニケーションが可能な機器を用いて共同指導を行うことが認められています。
利用者の個人情報をビデオ通話の画面上で共有する場合、利用者の同意の取得が必要です。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末において共同指導を実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守する必要があります。
※1 厚生労働大臣が定める疾病(基準告示第2のⅠに規定する疾病)について
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る))
多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレ―ガー症候群)
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頚髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
特別管理指導加算の対象者
特別管理指導加算とは?
特別管理指導加算とは、退院時共同指導加算を算定する利用者のうち、特定の状態にある利用者に対して退院時共同指導を行う時に算定できる加算です。
加算の種類 | 金額 |
特別管理指導加算 | 2000円/回 |
※特別管理加算の対象となる利用者について以下のいずれかに該当する利用者
在宅悪性腫瘍等患者指導管理
在宅気管切開患者指導管理
気管カニューレの使用
留置カテーテルの使用
在宅自己腹膜灌流指導管理
在宅血液透析指導管理
在宅酸素療法指導管理
在宅中心静脈栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
在宅自己疼痛管理指導管理
在宅肺高血圧症患者指導管理
人工肛門、人口膀胱の設置
真皮を越える褥瘡
週3日以上の点滴注射
退院支援指導加算とは?
退院支援指導加算とは、訪問看護ステーション等が、保険医療機関から退院する利用者に、退院日に在宅で療養上必要な指導を行うことで算定できる加算です。
加算の種類 | 金額 |
厚生労働大臣が定める長時間の訪問の場合 | 8,400円/回 |
上記以外の場合 | 6,000円/回 |
退院支援指導加算の対象者
以下のいずれかに該当する保険医療機関から退院する利用者
末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る))
多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレ―ガー症候群)
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頚髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
在宅血液透析指導管理
在宅酸素療法指導管理
在宅中心静脈栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅悪性腫瘍等患者指導管理
在宅気管切開患者指導管理
気管カニューレの使用
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅人工呼吸指導管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
在宅自己疼痛管理指導管理
在宅肺高血圧症患者指導管理
人工肛門、人工膀胱の設置
真皮を越える褥瘡
在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定
退院日の訪問看護が必要であると認められた状態
退院支援指導加算の算定要件
准看護師を除く看護師等が指導を行うこと
退院日に在宅での療養上必要な指導を行うこと
利用者の退院時に訪問看護指示書の交付を受けていること
退院支援指導の内容を訪問看護記録書に記録すること
長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が90分を超えた場合または複数回の退院支援指導の合計時間が90分を超えた場合に限る
退院支援指導加算の留意点
退院日の翌日以降1回目に訪問した訪問看護の訪問看護管理療養費に加算します。
利用者が退院日の翌日以降1回目の訪問が行われる前に死亡・再入院した場合には、死亡・再入院した日に退院支援指導加算を単独で算定できます。
1人の利用者につき、1ヵ所の訪問看護ステーションだけが算定できます。ただし、当該利用者が入院する保険医療機関の看護師等が行う退院日の訪問指導とは併用算定ができます。
訪問看護ステーションと特別の関係にある保険医療機関を退院した場合も算定できます。
退院時共同指導加算・特別管理指導加算のQ&A
退院時共同指導を実施した2ヶ月後に退院後初回の訪問看護を行った場合は退院時共同指導加算を算定できるのか。
算定できない。退院後初回の訪問看護を行った月の同一月若しくは前月に退院時共同指導を実施した場合に算定できる。
退院時共同指導加算を2ヵ所の訪問看護ステーションで算定できるのか。
退院時共同指導加算は、退院又は退所1回につき1回に限り算定できることとされているが、利用者が1ヶ月に入退院を繰り返した場合、1月に複数回の算定ができるのか。
特別管理指導加算は、理学療法士等が退院時共同指導を行った場合も算定できるか。
退院時共同指導加算・特別管理指導加算・退院支援指導加算のまとめ
今回は医療保険の退院時共同指導加算・特別管理指導加算・退院支援指導加算について解説しました。作成時点の最新資料・情報を基に作成していますが、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。
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